村人が勇者をめざすのは間違っているだろうか

~村人から勇者になるための物語~

さあ少年に会いに行こう~人生の軸を見つける小旅行①~

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幼少期から毎日「不安」との闘い。

 

母親は…おそらくいなかった。顔もわからない。父親は仕事のため幼少期は色々な家に預けられながら過ごしていた。

 

生まれつき耳の聞こえが悪くコミュニケーションがうまく取れなかった。

 

生まれつき色素が薄く毛髪も黒くないし肌も色白。

 

大人になった今では特に気にするようなことでもない。と思うが当時はその子も周りの子も子供だったし、「他とちょっとだけ違う自分」が良くも悪くも何かしらの「対象」になりやすかったんだ。

 

時がたちいつの間にか自尊心なんてない、自虐的で自分に自信もない。挙動不審。人間が信用できない少年に育っていた。

 

大人になっても自分を好きになれず、少年時代に経験した負の感情やトラウマは、仕事や普段の生活に反映されていて先が真っ暗な景色しか見えない。

 

自分の目指すべき「人生の軸」を見つけたい。

 

人それぞれかとは思うが、子供時代に感じた感情や経験がその人の「本質的な軸」になりうるヒントが隠れていると知った。

 

意識の奥の「過去」にタイムスリップをしてあの頃の少年が心の中で欲しかったであろう言葉を大人になった自分がかけてあげようと思う。

 

少しでもその少年の心が救われたなら、歴史はきっと違っていて未来もかわるかもしれない。

 

自分のことが理解できるかも。

ほんの少し自分が好きになれるかも。

これからの生き方を示す「人生の軸」のヒントがそこにある。

 

さあ少年に会いに行こう。

過去へ~幼少期編~

自分の無意識の奥のさらに奥へ、深い海をゆっくり沈んでいくように。

 

そこには一人の幼い子供がいる。

 

大きく泣きわめいてる。とても悲しんでいるようだ。

 

「どうして泣いているんだい?」

 

子供は何も答えない。ただただ泣き続けているだけだ。

 

どうすればいいのか分からず、しばらくその子供を眺めることしかできなかった。

 

失くしていた記憶が少しづつよみがえってくる。

 

ああそうだ。寂しかったんだ。不安だったんだ。怖かったんだ。

 

短い期間で知らない人の家を点々として過ごしてきていたから。

 

その中に「怖い家」があったのだ。

 

環境の変化が多いせいか、その子は子供ながらに周りに気をつかって生活していた。

 

自己主張もせず、大人の言うこともちゃんと聞いた。いわゆる「良い子」にしてたんだ。

 

だが当時2~3才ごろの甘えたい盛りの男の子。

 

本来なら実の親がいたらめいっぱい甘えたいところ。

 

その時の一時的に親代わりしてもらってた人は優しくて温かくて、少し気を許していたのだろう。

 

かまってほしいし頭もヨシヨシされたい。だからついいたずらして気を引こうとしたり、近くに寄り添ってみたり自分なりにアピールしてた。

 

しかしある時…

今でも理由は分からない。自分が悪かったのだろうか?なにかいけないことをしたのだろうか?真実は分からない。

 

いつも通り抱っこされたくてその人に歩みよったその時だ。

 

髪が長く色白でふっくらとした頬がほのかに赤い。可愛らしい顔つきで女の子にも見えなくないその子の顔面に強烈な平手が放たれた。

 

その子には何が起こったのか理解できずしばらく茫然としてた。

 

ほっぺがジンジンとうずいてて非常に熱かったが、状況が理解できていないその子は再度抱っこされにいこうとすぐさま起き上がった。

 

 

そこからは記憶が曖昧だ。

 

ただ起き上がったその時に見たその人の表情に、トラウマになるような恐怖を感じたことだけを思い出した。

 

ただちょっと甘えたいだけだったのに。普段はいい子にしてたのに。

 

 

全部否定された。

 

もう泣くしかない。愛情をもらえなかったから泣くしかない。

 

ひたすら泣いた。

 

 

今自分の目の前にいる子供はその時の自分だった。

 

 

その子が望んでいたことは…

 

自分はこみ上げてくる感情を抑えられず、その子供を力いっぱい抱きしめた。

 

少し苦しかったかも知れない。

 

でも何も言わず愛だけをこめて強く強く抱きしめた。

 

しばらくすると子供泣き止んだ。

 

同時に自分の体が離されていく。

 

集中が途切れたのか自分が無意識の外に戻される道中、子供が何かを喋る。

 

かろうじて読み取れた口の動きは…

 

「ありがとう…」

 

子供は少し微笑んでいたような…気がした。